楽しいBADUIの世界

1日1 BADUI(ユーザインタフェースの失敗学)

目盛りは何のためにあるのだろうか…

      2016/01/19

息子は生まれつき体が弱く,なかなか口からミルクを飲むのが得意ではないので,ミルク+栄養剤の1日の目標量があり,1回あたりどの程度飲め,1日でどれだけ飲めたかということをしっかり管理しつつ,足りない分は管で注入するなどの必要があります.そのため毎回どの程度作り,どの程度飲んだかということを記録していくことが重要です.

下の写真は,その授乳のために利用している哺乳瓶.哺乳瓶の横に目盛りがあって50や100という数字があるので,例えば80 ml飲ませたい場合は100と書いてある場所から2つ下の目盛りを頼りにミルクを作れば良いように思います.

哺乳瓶

哺乳瓶

この哺乳瓶を利用して調乳して必要量を飲ませるとともに,どれだけ飲めたか,どれだけ飲めなかったのかなどを記録していたのですが….さて,よく哺乳瓶を見てください.なんだかおかしな感じがしないでしょうか?

当初私は,なんだかおかしいな,なんだか変だなと思いつつ,まさか商品なのだからそんなことは無いだろうと思ってそのまま使っていました.気になっていたのは,瓶の下部から10 mlまでの目盛りの部分が,他の目盛り間に比べてどうにも狭く見えてしまうこと.横から撮影した様子がこちら.

哺乳瓶の下部

哺乳瓶の下部

水が入っているので少し分かりにくいかもしれませんが,なんだか狭く感じないでしょうか? 私も使い続けている内にどうしても気になってしまい,実際に計測してみました.注射器を利用してしっかり10 mlはかり,入れた状態が下の写真のような状態(ちなみに,上の写真も10 ml入れた状態).

10ml入れてみた

10 ml入れてみた

1つ目の目盛りをかなり超えた場所まで水が来てしまっています.ざっと5 ml程度足りていません(メスシリンダーみたいに水面の下部で測るものなのかと思っていたのですが,全然違います.まぁ,ミルクは白く濁っているのでその測り方はできませんが).つまり,今までちゃんと量を達成していると思っていたのに(または,これだけ足りなかったと思っていたのに),毎回5 mlずつ足りなかったというわけで,なんとも言えない気分になってしまいました.

目盛りというのは,それを測るためにあるわけですから,しっかりして欲しいところです.他に利用している4つの瓶もそれぞれ同じ感じなので,1つだけのプリントミスではないだろうなと思います.

ほんと,ずれてるのであれば,最初から目盛りはつけないで欲しいなと….なかなか困ったさんな哺乳瓶でした.

[追記]

たつをさんのご指摘をもとにJIS 9112(日本工業規格)の哺乳瓶を調査してみると,最高表示容量に応じた誤差範囲が規定されている模様.ガラス製の100mlのもので±6.5ml,プラスチック製の場合は±4mlが誤差として許容されるのだとか.なので,トータルで93.5ml~106.5mlの間であれば良いということで結構幅があるうえ,最初の目盛りが大きく違っても良いということなんだとか.

うーん,哺乳瓶の誤差がこんなレベルであることは一般には知られていないでしょうし,色々誤解している人は多いように思います.実際,病院の看護師さんとかも知らなかったようですし.せめて,栄養をとるのが大変な新生児・乳児向けのものだけでもピッタリ合うようにして欲しいものです.一々計量している余裕なんて無いですし,少しの量を調整する必要がありますし….

BADUIを集めて整理した「失敗から学ぶユーザインタフェース」が発売されました

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