楽しいBADUIの世界

1日1 BADUI(ユーザインタフェースの失敗学)

バリアを積極的に無くさなければならない場所が,バリアだらけな件について

   

現在,居室として利用させていただいている建物が耐震改修のため,大学内のとある建物に退避させていただいております.

その建物,「障害学生支援室」というのがあります.車椅子を利用されている方を想定しているようで,「車椅子の方用のルートはこちら」などの案内板があります.そして,車椅子利用者のために,段差(バリア)を無くすよう板などを置くことで傾斜を付けたりしているようです.

車椅子用のエレベータはこちら

とはいえ,その傾斜がやや急だったり,廊下に色々細かい段差があったりして,本当に障害学生支援室を設置するのに適した建物なんだろうかと悩むことがよくあります.私は車椅子の経験がほとんど無いので(ずっと昔に1度体験させていただいたっきり),どの程度の傾斜が適切なのかはわかっていないのですが,移動等円滑化のために必要な特定路外駐車場の構造及び設備に関する基準を定める省令では,「勾配は、十二分の一を超えないこと。ただし、高さが十六センチメートル以下のものにあっては、八分の一を超えないこと。」とあります.まぁ,路外駐車場車椅子使用者用駐車施設に関するものですからこれがそのまま適用されるわけではないでしょうけど,参考にはなります.

上の写真はメジャーなどを利用してしっかり計測していないので正確な値はわかりませんが,4~5分の1といったところでした.まぁ,アウトですね.ちなみに,エレベータに至るまでこの傾斜が2回,乗り越えにくそうな段差が2つあります.でも,これは今回の対象ではありません.

今回問題とするのは,その建物内にある下のような場所.ちなみに,この左奥は女子トイレになっています.

バリア

えーと,傾斜角度30~40度といったところで3分の1くらいですね.この傾斜は,どれだけ元気な若い学生であっても厳しいのでは(というか転倒してしまうのでは)と思います.何故こういった無茶な傾斜を用意してしまったのか,本当に理解に苦しみます.

考えられる理由としては,「8分の1程度の傾斜にしてしまうと廊下にはみ出すため,傾斜が急なものを選択した」という事か,「そもそも何も考えていない」,「置いてみたけど使えなかったので放置されている」という事くらいでしょうか.

とにかく理解に苦しむBADUIでした.他の建物ならまだしも,バリアフリーであることが特に求められる建物でこれですからね・・・.

BADUIを集めて整理した「失敗から学ぶユーザインタフェース」が発売されました

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