楽しいBADUIの世界

1日1 BADUI(ユーザインタフェースの失敗学)

ディスプレイがあることで間違った操作に誘導されてしまう…

      2015/03/05

BADUI本でも触れていますが,手がかりが間違った方向で利用されていると人を惑わせてしまいます.ここで紹介するのは,学生さんが出会ったゲームセンターの両替機

ゲームセンターでは,100円玉が最も使用頻度の高いお金であり,100円玉が無いとプレイできないゲームも多いため,財布の中に紙幣しかない場合は両替する必要があります.そのため,多くのゲームセンターには紙幣を100円玉に両替可能な仕組みがあります.下図もそうしたゲームセンターの両替機です.

ご希望の両替のボタンを押してください

ご希望の両替のボタンを押してください

「1000円分,100円10枚」「100円20枚」「「100円30枚」という3パターンの両替が用意されているようです.

さて,この両替機を利用して1000円分両替しようと思った場合,どこを押そうとするでしょうか? 多くの人が,存在感のあるディスプレイ(下図)に注目し,そのディスプレイ上に表示されている「1000円分両替」という場所を押そうとするのではないかと思います.

ディスプレイ

ディスプレイ

しかし,このディスプレイは実を言うとタッチ操作不可能な単なるディスプレイであり,タッチしたところで反応しません.

実を言うと,その場所から飛び出しているような丸が少し離れた場所にあるボタンに繋がっており(下図),そのボタンをおすことによって操作する必要があるというものでした.

ディスプレイから・・・

ディスプレイから・・・

多くの人が間違って操作してしまう人が続出しているため,「ご希望の両替のボタンを押してください」という説明シールと,そのボタンの左側にデカデカと「100円10枚と残りを1000円札に両替」「100円20枚と残りを1000円札に両替」「100円30枚と残りを1000円札に両替」のように絆創膏的に説明シールが貼られています.

まぁ,この事例の場合はディスプレイをタッチして操作するものではないですし,ディスプレイ上で提示されている情報が役に立つものではないため,ディスプレイを消してしまったほうが良いように思います.なんとも,技術によって間違った操作に誘導されてしまうという意味で面白い話でした.

BADUIを集めて整理した「失敗から学ぶユーザインタフェース」が発売されました

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