楽しいBADUIの世界

1日1 BADUI(ユーザインタフェースの失敗学)

「戻る」と「次へ」

   

色々技術が進んだことによって,昔とは違いエコノミーであっても飛行機の中で色々な映画を見ることができるようになりました.先日,アメリカに行く時に利用したJALも約30タイトルの映画やドラマを選択試聴することができました.で,何かいい映画はないかなとコントローラを手にとって操作しようとしていたときにアレっと思ったことがあったので紹介.

多くの映画を視聴できるため,一度にすべてのタイトルを表示することはできません.そこで,1ページあたり6個くらいの映画をリストで提示し選択できるようにしており,リストの下にある「戻る」または「次へ」で他のページへ移動できるようになっています.

次のページに移動するため,コントローラを利用してリストの下までカーソルを移動すると下の写真のようになります.

戻ると次へ

戻ると次へ

上の写真を見て違和感を覚える方はBADUIの罠にはまらない人,違和感を覚えない方はBADUIに嵌まってしまう人かと.

私は特に違和感を感じず,次のページへ移動するつもりで決定ボタンを押してしまいました.良く見ていただければわかるのですが,ここで選択しているボタンは「戻る」ボタン.システムは最初のページに戻すのですが,私は次のページへ移動したつもりになっていたため,一瞬これだけしか(2ページ分しか)映画がないのかと思ってしまいました.

このUIが厄介なのは,下記の3点が揃っていること.

  1. ページをめくっていくため次へ移動することが多いのだが,次のページに移動するためリストの下まで辿り着いた時の初期選択が「戻る」である.
  2. 左側に「次へ」が,右側に「戻る」が配置されている.
  3. 戻るのボタンなのに進むことをイメージさせる右方向矢印になっている.

どれかが欠けていればそれほど問題はないなのですが,この3つが揃っているために嵌まってしまいます.

戻ると次へ

戻ると次へ

「次へ」を選択するには,まず下ボタンを押していくことでリストの最下段までカーソルを移動し,戻るが選択された状態で左ボタンを押して「次へ」を選択状態にして決定を押す必要があります.なんという厄介なシステム!

日本の縦書きの本は右から左へ進むので,そうしたインタラクションに慣れ親しんだコンピュータのことを良く知らない人が「左は次へで,右は戻るね!」と仕様書を出しちゃったんじゃないかと妄想.

「戻る」と「次へ」が逆に配置されており,ループしてしまったり操作ミスをしてしまったりするUIについては他にも色々あったりします.また機会があれば紹介させていただきます.

BADUIを集めて整理した「失敗から学ぶユーザインタフェース」が発売されました

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