楽しいBADUIの世界

1日1 BADUI(ユーザインタフェースの失敗学)

言語の変更が困難なチケット券売機

   

確か,ミュンヘンの空港から電車で移動しようとした際に出会ったチケット券売機.

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海外で電車のチケットの買い方がわからないことはよくある話なのですが,これも買うのに結構苦戦してしまったチケット券売機です.

とりあえず,ドイツ語はまったく分からないのでなんとか表示言語を変えたいと言うのが多くの人の思うことかと思います.ここで,画面上部のドイツの国旗の隣にイギリスの国旗があるため,英語へと切り替える仕組みがあることはわかります.

まず,私も含めた多くの人がこの画面のイギリス国旗を何度か触って言語を変えようとします.タッチパネルだと勘違いしているわけですね.残念ながらこのチケット券売機はタッチパネル式ではないため,ここで言語変更は無理です.

しばらく画面も含めてチケット券売機を観察すると,画面から随分下のところ(30~40cmは下だったかな?)に言語変更できそうなボタンがあることを発見.それが下の写真.

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おぉこれだと,イギリス国旗のボタンらしきものを押してみるが反応がない.ボタンのデザインがかすれており,他の人も押したのだろうと思うからこそ,なんで操作できないのかと思い悩む.

しばらく悩んだ後に,この国旗の横に旗のマークがあることに気づく.このあまりボタンっぽくないマークを試しに押してみたところ言語の変更に成功.これはなかなかの罠ですね.国旗の色がここまでかすれていることからも分かる通り,私以外にも多くの人がこのボタンらしき国旗を押そうとして悩んでいました.

何となく人が操作したような形跡があるからこそ,みんなそこを触ろうとする.下の写真(ブリュッセルで見かけたブロンズ壁画)のように,国内外問わずよく見かける人の触った後を思い出してしまいました.もとは,ここを触ると幸せになるとかそういうので始まったのかどうなのか・・・

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ひとにいたずらをするときに,このような使った跡,触った跡を見せると言うのは手ですね.また,わざと色落ちさせたりよごしたりすることでデバイスの持ち方を教えたり,操作方法を教えたりすることを考えてもよいのかもしれません.

BADUIを集めて整理した「失敗から学ぶユーザインタフェース」が発売されました

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