楽しいBADUIの世界

1日1 BADUI(ユーザインタフェースの失敗学)

利用者の要求を拒否するエレベータ

      2011/02/09

韓国のソウルで出会ったホテルのエレベータ.

elevator1

目的の階を押すと,まずはその階のボタンが赤色に光り,ドアが閉じる.しかし,ドアが閉じた後にエレベータが動く気配がない.押しそびれたのかなと何度か試すものの,やはり目的の階を押しても,「おまえの願いなんて聞き届けてやらね」というかのごとく,私の要求を無視し,目的の階へと移動してくれない.

しばらく後,各階へのボタンの下の方にカードを挿入できそうな隙間があることに気づく.そこに部屋のカードキーを通して,目的の階を押したところ,その階のボタンのライトがともりっぱなしになり,目的階まで行くことができました.セキュリティのため,カードキーを持っていない人が勝手に宿泊フロアに入れないようにするための仕組みなんですね.

出張などで色々なホテルに泊まっていると,こうしたホテルが珍しくなくなってくるのだけれど,やはり初めて遭遇するとなかなか使いこなせず困ってしまいます.ちなみに,私もはまりましたが,私の知人も目的の階が押せず,悩んでいるうちに他の階からそのエレベータが呼ばれてしまい,目的とは違う階に連れて行かれてしまい,気まずい思いをしながらまた下りてきたそうです.

こういうのはホテルのフロントでチェックインした時に説明してくれればいいんですが,ほとんど説明してもらった覚えがありません.おかげで,色々なところでこうした問題に遭遇する人を見かけます.実際に,つい先日ポーランドのポズナンに行った時も,ホテルのエレベータが似たようなシステムで目的の階を押せずにしばらくエレベータの中に閉じ込められていた同僚がいました.

ちなみに,そのポズナンのホテル(Novotel)のエレベータのボタンは下の写真みたいな感じ.一応説明書きはあるのですが気付かないのと,片方のコントロールにはカードキーを挿入する場所が無いので,嵌まってしまいます.

poznan_elevator1

コントロールパネルの上に説明書きがあるものの,多くの人はそういうシステムがあることを知らず最初は気付かない.また,その説明に気づいてもこのコントロールパネルの下にはカード挿入口がないため困ってしまう.

poznan_elevator2

一方のコントロールパネル(右側)にはカード挿入口あり.

オーストリアのリンツにあるPark Innに宿泊した時も同じスタイルでしたが,こちらはコントロールパネルのすぐ側にカードの挿入方法などが書いてあり,わかりやすかったのが印象的でした.

分かりやすい例

分かりやすい例

しっかりと考えて配置して欲しいものです.

BADUIを集めて整理した「失敗から学ぶユーザインタフェース」が発売されました

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