楽しいBADUIの世界

1日1 BADUI(ユーザインタフェースの失敗学)

折角のカード専用精算機なのに・・・

   

最近通っている京都大学の附属病院は,ポケベルのようなもので行き先を随時指示されたり,端末で再診登録をしたり,支払を行ったりできるなど,色々な情報システムが入っているため,情報系の研究者としては興味深く観察させてもらってます.

その京大の附属病院は,診療費をカードでかつ窓口に行くこと無く支払うことができるようになっています.下記がそのカード専用機.ここに,診察カードとクレジットカードを挿入して精算することになります.

カード専用精算機

待たなくても使用できるので便利な機械なのですが,このカード専用精算機の使い方がわからず悩んでいるひとが多く,それで行列ができてしまってることがあるので残念(行列の原因となる人は,しばらく試行錯誤した挙句,結局使い方がわからず他へ移動してしまう).

一応,画面には下の写真のように案内が出ています.でも,悩んでしまっている人が多い.私も,最初間違ってしまいました.

ディスプレイには診察券を先にとの表示

悩んでしまう原因は

  • このカード専用精算機で利用する診察カードとクレジットカードのサイズが同じこと
  • 診察カードの認証を行う部分と,クレジットカードを認証する部分が違うこと
  • 最初に認証しなければならない診察カードの認証場所がわかりにくいこと
  • まず目に入るカード挿入口が,ついつい診察カードを入れたくなる場所にあること
  • ディスプレイに多少の案内が出ているにも関わらず,診察カードを最初にまでしか読まない

などが挙げられます.ちなみに,カード専用精算機のカードを持っていく場所を拡大したのが下の写真.

さて,どこに診察券を持っていくか?

さて,どこに診察券を持って行きますか?「診察券は入れないでください」と黄色で書いているにもかかわらず,結構な数の人がここに診察券を入れようとしていました.

わかりにくいのは,診察券はカードになっているので,カード入れに入れたくなり,バーコードにかざすという発想がなかなか出てこないこと.さらに,バーコード読み取り場所が上の写真のとおり,下の方にありややわかりにくく,ついついハマってしまう.また,厄介なことに下のようにクレジットカード大のカードをかざさなければいけないのに,それを示す絵ではカードのような大きさのものではなく,もっと大きな診察券(診断書のような物?)をかざす必要があるかのように読み取れます.

読み取り口

もしかしたら,昔は診断書のようなものが発行されていて,それでこういうデザインになっているのかもしれませんが,少なくとも現状はみんなカードを使っているわけなので,なんともな感じのデザインでした.

BADUIを集めて整理した「失敗から学ぶユーザインタフェース」が発売されました

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