楽しいBADUIの世界

1日1 BADUI(ユーザインタフェースの失敗学)

人がどう使うかを考えていないため,人が諦めるまで役に立たない説明書き

   

こちらもまた学生さんからのタレコミ.

とある施設の待合スペースに置かれている給水・給湯器.一見すると特に問題はなさそうです.

給水・給湯器

左のオレンジ色がお湯で,右の水色がお水ですね.一見すると特に問題がなさそうなのです.

さて,お湯を飲もうと思ってカップをオレンジ色の注ぎ口の所に持っていきます.

お湯を入れようと

で,お湯を出そうとしたのですが・・・.レバーらしきものを押しこもうとしたり,手前に倒そうとしたり,奥上方向へ押し上げたりしようとしてもお湯が出ません.というか,操作できている気がしません.なんじゃこれはと思って悩むのですが,特にどうやって使うのかという説明がありません.

うーん,うーんと諦めて水でも飲もうかとカップを注ぎ口からずらした時に・・・

熱湯注意の下に説明が

熱湯用の注ぎ口の下,つまりカップを持っていった時にカップによって遮られていたスペースに利用方法に関する案内がありました.お湯を出すには「レバーを持ち上げ,持ち上げたレバーを奥へとスライドさせ,レバーを押し下げる」という想像もつかない操作が必要とのこと.

まぁ,子どもが間違って操作してしまい,お湯が出てしまってやけどをするなどの問題があると困るのでこうしているんでしょうけど,わかって利用できる大人が使おうと思った時に,カップによってその説明文が隠れてしまうというのはなんとも・・・.しかも,これだと「熱湯注意!」に関する詳しい説明にも見えてしまいますしね.

ひとは,慣れ親しんだUIを見た時に,特に問題なく操作できると考え,特に説明文などを読まずに操作をしようとしがちです.この事例の場合も,特に問題なく操作できそうに感じるため,使い方がわかっていないのに,ついついコップをお湯の注ぎ口のところに持っていきます.で,使い方がわからなくて悩んでしまい,周辺に情報を探すものの見つけることができず諦めてしまう.その諦めた時に初めて使い方を発見するというものになってしまってました.

利用者がどのように利用するか,どう悩むかといった事を考えていないためにBADUIとなったものでした.せめて注ぎ口の横または上にこの説明文を貼っていればね・・・

BADUIを集めて整理した「失敗から学ぶユーザインタフェース」が発売されました

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