目の前にある対象をどう操作したらよいか(引くのか,押すのか,ひねるのか,スライドさせるのか,持ち上げるのか,引っ張るのかなど),どういった操作の可能性があるのかということが明確な場合,その操作に困ること無く利用することができます(アフォーダンスやシグニファイアという言葉を聞いたことがある方も多いのではと思います).
例えば下の写真のようなドアを例にあげると,手で縦に握ることができるような掴みがあるドア(左)はスライドできることを,少しだけ盛り上がっている板が取り付けられているドア(中)は押すということを,ある程度の大きさの円筒型のドアノブがついているドア(右)はひねって開けるということを明確にしてくれているので,特に困ること無くドアを開けることができます.
そうした操作可能性を無視してデザインするとどうなるかというのが今回の例.とあるパーティ会場から外に出ようとしたときにみんな扉を開けることに一度以上は失敗していたという観察しがいのある扉.
さて,下の立派な扉(扉A)をどうやって開けますか?
もうひとつ.こちらの扉(扉B)はどうやって開けるでしょうか?
扉Aの場合,手を引っ掛けることができる輪っかが有りますので,引っ張って開ける事が可能であるという操作可能性が示されているわけで,1つ目の下のように手を引っ掛けて手前に引っ張るのではないでしょうか?
しかし,どれだけ引っ張ってもあきません.立派な扉なので重いだけかなと強く引いたり,こちらは固定されているのかなともう一方を引いてみても反応しません.答えは・・・
何故か押すと開きます.何故に・・・
さて,扉Bの写真は扉Aを逆側から見たものなので,答えはもうお分かりかと思いますが・・・
どれだけ強く押してもあきません.押したら開きそうに見えますけどね・・・
持ちにくいこの飛び出した部分を掴んで引っ張ると開きます.飛び出した部分は大きめなので力も入れにくく,とても重い扉なので難儀します.また,手が小さい女性の場合掴むのにそもそも難儀してしまっていました.
お店の方がデザインでこの扉を使いたいというのがあって発注したんでしょうけれど,扉を開けることが可能な方向が建物の都合などによって想定と違ってしまったためにこうなってしまったのではと思います.なんとも悲しいBADUIでした.