押して開けるか引いて開けるか悩む扉

投稿者: | 2014年4月14日

学生さんからのタレコミ.前から私もかなり気になっていたので紹介.

目の前にある扉を押して開けようとして,扉が開かずぶつかりそうになった経験はないでしょうか? その逆で,眼の前にある扉を引いて開けようとして,扉が開かずに少し気まずい思いをしたことはないでしょうか? 今回紹介するのは,押して開けるのか,引いて開けるのかを間違えやすい扉です.

部屋の外から撮影した様子が下の写真.

どちら方向に扉を開ける?

どちら方向に扉を開ける?

部屋の中から撮影した様子が下の写真.

どちら方向に扉を開ける?

どちら方向に扉を開ける?

どちらに開けるでしょうか? ちなみに,どちらか一方向にしか開きません.答えは・・・

部屋の中に向けて開く

部屋の中に向けて開く

1枚目の写真の状況ではおして開ける,2枚目の写真の状況では手前に引いて開けるでした.PUSHかPULLかの情報が無いためどちらかわからない.また,手がかり(シグニファイア)の差が無いため,押すか引くかの判断が難しいことにあります.

さて,PUSH/PULLなどの情報がなく,手がかりも一緒なのであれば,間違う確率と正解する確率は半々位になりそうです.しかし,この扉興味深いのは,大半の人が間違っているように見えることで,私もやたらと間違うことが多いということです(間違ったから印象に残っているというのはあると思いますが).何故なんでしょうか?

とりあえず,ここには私が考えた2つの理由を晒しておきます.他にもいろいろな理由があると考えられますので,みなさん是非とも考えてみてください.

まずは,公共の場の出入口は外向きに開く扉が多いが,この扉は内向きに開くため間違ってしまうのではというもの.建築基準法第125条2項には「劇場,映画館,演芸場,観覧場,公会堂又は集会場の客用に供する屋外への出口の戸は,内開きとしてはならない」とあります.これは,災害などが発生した場合,ひとはその進行方向に扉を開けて脱出しようとするため,多くの人が集まるような場所ではそうなるように建築されています.教室などにその法律は適用されないのですが,教室はそれと似た状況だと言えます.一方,この教室の場合は異なる挙動であるため,多くの人が間違えてしまうのかもしれません.

もうひとつの理由は,この扉の1.5mくらい手前からある床の傾斜にあると考えています.この扉で室内から室外に出ようと思った時に,床がゆるやかに傾斜して下っているため,扉に向かう際に勢いがつきます.そのため,その勢いに任せて扉を押そうとしてしまうのではないかというのが私の予想です.一方,室外から室内に入る際に,扉についたガラスのスリットから,室内の床が微妙に上っていることが見えます.そのため,押すのではなく,引いて開けると勘違いしてしまうのではと思います.

ドアに向けて微妙な傾斜が

ドアに向けて微妙な傾斜が

まぁ,これについてはどうかわかりませんが,今後しばらく観察を続けてみたいと思います.もし,これぞという事を思いつかれた方は,ぜひ私まで教えて下さいませ.

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