国際会議の出張でスペイン行きの飛行機を予約しようとした時,旅行中の連絡先として「滞在国」を入力するフォームが有りました.この滞在国を選ぶインタフェースはリストボックス形式になっており,「アンドラ」「アラブ首長国連邦」「アフガニスタン」と並んでいます.
「あ」から始まっていますが,「アンドラ」「アラブ首長国連邦」「アフガニスタン」・・・「オーストリア」「オーストラリア」「アルバニア」とあり,あいうえお順のようであいうえお順では無さそうです.
そうか,ABC順かと考え,スペインは「Spain」と表記するため「S」で始まりそうな国名が並んでいるであろうリストボックスの後方を選択します(アンドラはAの次がNなのでABC順というのもおかしくはあるんですが綴りとかが違うのかなと思い込んでました).しかし,ABC順であるかどうかを悩ましく思うようなものしか並んでいないうえ,Sに該当しそうな場所にはスペインがありません.
もしかしたら「España」か?と,「E」で始まる国名が並んでいるであろう所に当たりをつけてリストボックスを操作し,探して回ると「エジプト」「エリトリア」と「エチオピア」「フィンランド」の間に「スペイン」がありました.このリストボックス上での表記はスペインなのに,実際には「España」になっているというのはちょっと問題がありすぎです.
と,ここまで来て2枚目の画像の「南アフリカ共和国」の位置のおかしさに気づきます.南アフリカ共和国は英語表記すると「South Africa」ですし,正式名称にしても「Republic of South Africa」です.さらに,その上にある「マヨット」は「Mayotte」.(左)の「アンドラ(Androra)」,「アラブ首長国連邦(United Arab Emirates)」,「アフガニスタン(Afghanistan)」の並びもおかしい気がします.「エストニア(Estonia)」で「エジプト(Egypt)」ですから,エジプトがエストニアの後にあるのもおかしいです.
色々調べてみたところ,これは「ISO 3166-1」というISOによって定められている国名コードの標準であり,ラテン文字2文字による国名コードということでした.
これによると,「アンドラ(AD)」「アラブ首長国連邦(AE)」「アフガニスタン(AF)」で,「マヨット(YT)」「南アフリカ共和国(ZA)」,「エストニア(EE)」「エジプト(EG)」そして「スペイン(ES)」ということでした.
「ISO 3166-1」を記憶している人はほぼ居ないに等しいでしょうし,そもそも知らない人ばかりだと思います.そのような一般的でないものを適用することによるデメリットを考えていないという点で,かなりのBADUIさんでした.
これだけ多くのものをリストで提示する場合,そこにユーザが順序を判断しやすいヒントを用意しておく必要があります.例えば単純にあいうえお順で並んでいれば,ここまで悩むことはなかったと思います.また,英語表記順であれば,多少悩むとはいえそこまで困ることはなかったでしょう.ただ,ISO標準という人が一般に記憶していないものを適用してしまったがために,こんな困ったUIが出来てしまったというわけです.