楽しいBADUIの世界

1日1 BADUI(ユーザインタフェースの失敗学)

押しても反応しないボタンがあるエレベータ

   

学生さんからタレコミされた,BADUI of the Year 2015を受賞しそうなレベルのエレベータのボタン.ここまで面白いものは久々に見たので,感激してしまいましたので紹介させていただきます.

まずはそのエレベータのボタンをじっくり観察してみてください.

エレベータのボタン

エレベータのボタン

さて,このエレベータのボタン色々気になるところがあります.まず,「B2」と「B3」,「B4」,「開延長」,「ひらく」というボタンについては,同じボタンが左右に並んでいます.もしかしたら以前紹介したような,単に同じ機能のボタンが並んでいるものなのかもと思ってしまいますが,実を言うとこれそれそれ機能が違うものなのだそうで…

よく見ると,この「ひらく」というボタンの上に「正面」「背面」というラベルが付与されています.また,右側のB2の上には「背面」というラベルが貼ってあります.さて,どういうことでしょうか?

このエレベータ,正面と背面にそれぞれ開閉するドアがあるそうです.で,この正面というラベルが付与された「ひらく」を押し続けると正面のドアを,背面というラベルが付与された「ひらく」を押し続けると背面のドアを開け続けることができるそうです.つまり,ドアを開け続けようと思っていても,間違った方向のドア用の「ひらく」ボタンを押していると,誰が通ろうが気にせず閉まってしまうのだとか.現在どちらの向きなのかを把握し,適切な「ひらく」ボタンを押さないといけないという,なかなか難易度が高い面白いものです.

で,まぁこれだけならこれまで紹介してきたBADUIといい勝負だと思うのですが,ここからがこのエレベータのボタンの本領発揮です.実を言うと,このエレベータ,B2は正面のドアだけ,B4については背面のドアだけしか開かないそうです.つまり,B2に行こうと思って「背面」のラベルが貼られている右側の「B2」というボタンを押しても全くボタンが反応せず,左側の「B2」というボタンを押さなければならないのだとか.同じくB4についても,左側の「B4」というボタンを押しても反応せず,右側のボタンを押さなければならないのだとか.

行き先を指定するボタンで,正面・背面のひらくドアを指定しなければならず,さらにそこで間違った方向を指定してしまうとエレベータとして機能しないというなんとも困ったさんでした.このラベルが貼られているから(まぁ,こうしないと使えないから)なんとかなりますが,なんとも味わい深く面白いBADUIさんでした.

1つのボタンにして,階ごとにひらくドアを変えていけばよかったと思うんですけどね.まだまだこれから素敵なBADUIが登場するかもしれませんが,現時点での「BADUI of the Year 2015」の最有力候補の紹介でした.いやぁ,素敵です.

BADUIを集めて整理した「失敗から学ぶユーザインタフェース」が発売されました

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